塔に降る雪　　

 
「新月宵」   コミックトム　

新月の宵は”月が闇に喰われてまた新しく復活するそのはざまの夜であり、終わりと始まりが同時におこる特別な夜。山奥のへんぴな村はしかし、お茶や薬草の産地であり、通商を求めてやってきた男は、山の中で追い剥ぎに殺された旅人の死体を見つける。悪の神と善の神の闘いにいまだ勝敗がつかないように、一人の人間の中でも善と悪が闘い続けてるのかもしれない・・・。

 
「石の谷の姫君」　コミックトム　　

大雨の中、雨の様子を見に外に出た男は道が分からなくなり、さらに流されて見知らぬところにやってきてしまった。帰ることも難しく、そこに居着いて美しい娘と結ばれて暮らしていたのだが、ある日、妻に決して切ってはいけないと言われていた瓜を切ったとたんに水が溢れて・・・。

 
「水の色の空」　　コミックトム　

ひとり旅をしてるマヌハが食事をしてると、盗みを働いて追われていた少年ヤナと出会う。なんとなく行きがかりで一緒に旅をする二人は空に近い村で一夜を過ごす。縛られてるのを見るのが嫌いというヤナは神に供えてある水を牛に勝手にやって村人の怒りをかうが、彼の自由で強い態度にマヌハは少し共感したのか、二人の旅はさらに続くことになる・・。

 
「象牙飾りの窓」　 コミックトム　

大金持ちの家の綺麗な娘さんが急に象牙飾りの窓が欲しいと言い出した。ふだんはわがままを言うこともない娘の願いを叶えてやりたいと思った父親は細工師に相談したが、細工師はたくさんのゾウを殺さないと手に入らない象牙で作るのが気が進まない。気がつくと、娘の近くには一羽の孔雀が居着いていて、どうも様子がおかしいのだった・・。

 
「桃の村」　 コミックトム　

顔がまるで芥川龍之介、の中塚がふらっと外を歩いていると「原のおばさん」と名乗る女性に声をかけられ一緒に「お化け屋敷」に入るのだが、そこは紙細工で出来た風景や人形たちに囲まれるふしぎできれいな空間だった。女性はいつのまにか消え、外に出ると雨・・。

 
「塔にふる雪」　コミックトム　

寺に赤ん坊が捨てられていた。修行中の僧侶である ツェパさんが仕方なしに面倒をみるのだが、彼以外の人では泣いてどうしようもないので一日中一緒にいる羽目に。赤ん坊をあやしながら修行を続ける僧侶達の生活だったのだが・・。

 
解説＊「神様にいちばん近い場所」」 　

書き下ろし（村上知彦） 　


潮出版